ユスティニアヌスのローマ法大全の技法
編纂方法
ユスティニアヌス帝は、6世紀初頭にローマ法の再編を命じました。法学教授トリボニアヌス率いる委員会によって進められたこの事業は、膨大な量のローマ法の文献を収集・整理し、矛盾を解消し、体系的な法典としてまとめるという壮大なものでした。
使用された資料
編纂作業には、共和政ローマ時代からユスティニアヌス帝の治世までの、1,000年以上にわたるローマ法の文献が使用されました。主な資料は以下の通りです。
* **勅法**: ローマ皇帝が出した法令。
* **法学者著作**: 古代の著名な法学者の著作や意見書。特に5人の法学者(ガイウス、パピニアヌス、ウルピアーヌス、パウルス、モデスティヌス)の著作は特に重視されました。
* **元老院決議**: ローマ帝政期に入ると形式的なものとなりましたが、立法行為として扱われました。
* **慣習法**: ローマ市民の間で長年受け継がれてきた法的慣習。
編纂作業の過程
編纂作業は、大きく分けて以下の3つの段階で行われました。
1. **収集**: まず、委員会はローマ帝国各地から関連する法文献を収集しました。
2. **整理・抜粋**: 収集された文献は内容ごとに分類され、重複や矛盾する部分を削除し、必要な部分のみが抜粋されました。
3. **統合・調整**: 抜粋された法文は、体系的に整理され、場合によっては修正が加えられ、法典として統合されました。
インターポレーション
編纂作業の過程で、委員会は原文に手を加えることもありました。これをインターポレーションと呼びます。これは、矛盾する内容を解消したり、古い法文を現代の状況に適合させるために行われました。インターポレーションの存在は、ローマ法大全が単なる過去の法典の集成ではなく、ユスティニアヌス帝時代の法意識を反映したものであることを示しています。