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ユスティニアヌスのローマ法大全の原点

## ユスティニアヌスのローマ法大全の原点

ローマ法の複雑化と混乱

ユスティニアヌス帝が即位した6世紀初頭の東ローマ帝国では、ローマ法は1000年以上にわたる膨大な量の法令や法解釈が蓄積され、非常に複雑化し、混乱を極めていました。
具体的には、

* **共和政期から帝政初期にかけて制定された市民法が、時代遅れになっていた。**
* **属州民に対する法や、皇帝が出した勅令が、数多く存在していた。**
* **著名な法学者の学説や解釈が、錯綜していた。**

このような状況は、法の専門家でない限り、必要な法的知識を得ることが困難な状況を生み出していました。これは、訴訟の際に不利な立場に立たされる人々を生み出し、司法の公正さを損なう可能性も孕んでいました。

ユスティニアヌス帝の法整備事業

ユスティニアヌス帝は、このような状況を打開し、ローマ帝国の再建を目指し、広範な法整備事業に乗り出しました。

ローマ法大全の編纂と構成

ユスティニアヌス帝は、トリボニアヌス率いる法律家委員会を組織し、ローマ法大全(Corpus Iuris Civilis)を編纂させました。
ローマ法大全は、以下の4つの部分から構成されています。

1. **「学説彙纂」(Digesta/Pandectae)**: 古代の著名な法学者たちの著作から、法的論点ごとに抜粋・整理し、体系的にまとめたもの。
2. **「 Justinianus 法典」(Codex Justinianus)**: 歴代皇帝が制定した勅令の中から有効なものを集め、体系的に再構成したもの。
3. **「法学提要」(Institutiones)**: 法学の初心者向けに、ローマ法の基礎知識を解説した教科書。
4. **「新勅法」(Novellae Constitutiones post Codicem)**: ユスティニアヌス帝が新たに制定した勅令を集めたもの。

ユスティニアヌス帝は、ローマ法大全を帝国の唯一の法典とし、将来にわたって効力を持ち続けるものとしました。

ローマ法大全の影響

ローマ法大全は、その後のヨーロッパの法制度に多大な影響を与えました。特に、12世紀以降に西ヨーロッパで研究が盛んになると、大学における法学教育の中心となり、近代ヨーロッパ諸国の法典編纂にも大きな影響を与えました。

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