ユゴーのレ・ミゼラブルの構成
構成の特徴
全5部構成、さらに各部が数巻から成り立つという、非常に長大な作品です。各部はそれぞれ独立した物語として読める側面を持ちながら、ジャン・バルジャンを軸とした大きな一つの物語を形成しています。
各部の内容
**第一部 ファントテーヌ**
慈悲の人・ミリエール司教と、彼に感化され改心するジャン・バルジャンとの出会いが描かれます。また、不幸な運命を辿る女性ファンテーヌと、彼女の娘コゼットが登場します。
**第二部 コゼット**
ジャン・バルジャンは、ファンテーヌの遺児コゼットをテナルディエ夫婦から引き取り、父親代わりとして育てます。テナルディエ夫婦の悪辣さ、ジャン・バルジャンの父性が描かれます。
**第三部 マリユス**
成長したコゼットと、革命を志す青年マリユスの恋が描かれます。当時のフランス社会、革命運動の様相、様々な人々の思惑が交錯します。
**第四部 聖ドニの街**
1832年の六月暴動を舞台に、マリユスが革命運動に身を投じる様が描かれます。ジャン・バルジャンもまた、コゼットの愛するマリユスを守るため、戦いに巻き込まれていきます。
**第五部 ジャン・バルジャン**
六月暴動後のマリユスとコゼットの結婚、そしてジャン・バルジャンの死が描かれます。ジャン・バルジャンは、自らの過去をコゼットたちに告白し、静かに息を引き取ります。
時間と場所の推移
物語は19世紀初頭のフランスを舞台に、数十年にわたる歳月を描きます。舞台は、パリ、モンフェルメイユ、ディニュなど、様々な場所に移り変わります。
多様な挿話
物語の主軸以外にも、様々な挿話が挿入されています。これらは当時の社会問題、歴史、宗教、哲学などを扱っており、作品に深みと広がりを与えています。