Skip to content Skip to footer

ヤーコブソンの言語学と詩学の選択

## ヤーコブソンの言語学と詩学の選択

言語機能の六角形モデルと詩的機能

 ローマン・ヤーコブソンは、彼の代表作の一つである「言語学と詩学」において、言語の六つの機能を提唱しました。それは、

1. **指示的機能:** 文脈(コンテクスト)に焦点を当てる機能
2. **表出機能:** 話者(アドレス)に焦点を当てる機能
3. **親和機能:** 聞き手(アッドレシー)に焦点を当てる機能
4. **美的機能:** メッセージ自体に焦点を当てる機能
5. **メタ言語機能:** コード(言語自体)に焦点を当てる機能
6. **詩的機能:** メッセージとメッセージの関係に焦点を当てる機能

です。

 これらの機能は、コミュニケーションのあらゆる場面で作用していますが、特定の場面では、特定の機能が優勢になります。例えば、日常的な情報伝達の場面では、指示的機能が優勢です。一方、詩などの文学作品では、詩的機能が優勢になります。

詩的機能の働き

 詩的機能は、メッセージとメッセージの関係に焦点を当てることで、言語に特別な効果をもたらします。ヤーコブソンは、詩的機能を「等価性の軸上への投射」と表現しています。これは、音韻、語彙、統語などの言語要素を、意味内容とは別に、類似性や対照性に基づいて選択し、配列することを意味します。

 例えば、韻律や脚韻は、音韻の類似性に基づいて言葉を配置することで、音楽的な効果を生み出します。また、比喩や換喩は、意味内容の類似性や隣接性に基づいて言葉を組み合わせることで、豊かなイメージを喚起します。

詩的機能と他の言語機能との関係

 ヤーコブソンは、詩的機能が他の言語機能を排除するものではなく、むしろ他の言語機能と相互作用することで、より複雑で豊かな表現を生み出すと主張しました。

 例えば、政治演説では、聞き手を説得するために、指示的機能と親和機能が重要な役割を果たします。しかし、同時に、詩的機能を用いることで、演説に力強さや美しさを加え、聞き手の心を強く揺さぶることができます。

 このように、詩的機能は、文学作品だけでなく、あらゆる言語活動において重要な役割を果たしています.

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5