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ヤーコブソンの言語学と詩学の対極

ヤーコブソンの言語学と詩学の対極

サピアの言語論

ヤーコブソンの「言語学と詩学」は、詩的言語の自律性と特殊性を強調し、言語の詩的機能に焦点を当てています。 これに対し、サピアの言語論、特に「言語:言語学入門」は、言語を文化と密接に結びついた全体的な現象として捉え、その社会的、文化的機能を重視しています。

サピアは、言語が思考を形作り、文化を規定するという「言語相対性理論」を提唱しました。 これは、言語が単なるコミュニケーションの道具ではなく、世界観や文化そのものを形作る力を持つことを示唆しています。 彼にとって、言語の研究は、文化や社会の構造を理解するための鍵となるものでした。

ヤーコブソンが文学作品の形式的分析を通じて言語の詩的機能を探求したのに対し、サピアは、多様な言語の構造を比較分析することで、人間の思考と言語の関係を明らかにしようとしました。 彼の関心は、特定の言語の美学ではなく、言語が人間と世界を結びつける仕組みにありました。

このように、ヤーコブソンとサピアは、言語という共通の対象を扱いながらも、その視点とアプローチは大きく異なっています。 ヤーコブソンが言語の内的構造と詩的機能に焦点を当てたのに対し、サピアは言語と文化、思考との相互作用を重視しました。 彼らの業績は、20世紀言語学における二つの大きな潮流を代表するものと言えるでしょう。

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