モームの月と六ペンスに匹敵する本
芸術と人間性への探求:類似するテーマ
「月と六ペンス」は、ゴーギャンの生涯をモチーフに、社会生活を捨てて絵画に没頭する男の姿を描いた作品です。同様のテーマ、すなわち芸術と人間性の複雑な関係を探求した作品としては、以下のようなものが挙げられます。
* **トーマス・マン「魔の山」:** ブルジョワ社会の価値観に縛られた作家が、結核療養所という異質な空間で様々な経験を通して精神的な成長を遂げる様を描いた作品。芸術とエロス、生と死といった深遠なテーマが交錯します。
* **マルセル・プルースト「失われた時を求めて」:** 主人公が過去の記憶を辿りながら、時間と意識、芸術の本質について考察していく長編小説。プルーストは「月と六ペンス」を高く評価しており、両作品には芸術家肌の登場人物や人間の深淵を描く点など共通点が見られます。
社会規範への反逆:共通するモチーフ
「月と六ペンス」の主人公ストリックランドは、社会的な成功や物質的な豊かさを求めず、自身の内なる衝動に従って芸術を追求します。このような社会規範への反逆というモチーフは、以下の作品にも共通して見られます。
* **ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」:** ブッダの生涯を題材に、物質世界に背を向け、精神世界を追求する青年の姿を描いた作品。ストリックランド同様、シッダールタもまた既存の価値観にとらわれず、自己実現のために独自の道を歩んでいきます。
* **ジャック・ケルアック「路上」:** 1950年代のアメリカを舞台に、社会の束縛から逃れ、自由を求めて放浪する若者たちの姿を描いた作品。既存の価値観や生活スタイルに疑問を投げかけ、自分たちの生き方を模索する主人公たちの姿は、「月と六ペンス」のストリックランドと共鳴する部分があります。
個性的な登場人物:共通の魅力
「月と六ペンス」の魅力の一つは、ストリックランドをはじめとする個性的な登場人物たちです。彼らと同じく、強い個性と魅力を持つ人物が登場する作品としては、以下のようなものが挙げられます。
* **フランツ・カフカ「変身」:** ある朝、虫に変身してしまった男を描いた不条理小説。主人公グレゴール・ザムザの置かれた状況は奇異ながらも、彼の孤独や疎外感は普遍的なものであり、読者に強い印象を与えます。
* **ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」:** 父親殺し事件を通して、人間の罪と罰、信仰と懐疑といったテーマを描いた作品。個性的なカラマーゾフ家の四兄弟は、それぞれ異なる思想や生き方を体現しており、読者に深い問いを投げかけます。