## モンテーニュのエセーの秘密
モンテーニュの「エセー」とは何か？
「エセー」とは、16世紀のフランスの思想家ミシェル・ド・モンテーニュが書いた、雑多なテーマについて自由に論じた評論集です。 1580年に初版が刊行され、その後も改訂が重ねられ、1595年に最終版となる第3版が出版されました。 「エセー」という単語は、フランス語で「試み」を意味し、モンテーニュ自身が考案したと言われています。
エセーの特徴
モンテーニュのエセーは、以下のような特徴を持っています。
* **自由な形式**: 特定のテーマに沿って体系的に論じるのではなく、モンテーニュ自身の思考の流れに沿って、自由に話題が展開していきます。 そのため、一見すると散漫な印象を与えることもあります。
* **個人的な経験に基づく**: 哲学、歴史、文学など、幅広い分野を題材としていますが、常にモンテーニュ自身の体験や思考が中心に据えられています。 そのため、人間味あふれる親しみやすい文体となっています。
* **自己探求**: エセーの根底には、「人間とは何か？」「どのように生きるべきか？」といった、モンテーニュ自身の内面的な問いかけがあります。 そのため、エセーはモンテーニュの自己探求の記録とも言えます。
* **懐疑主義**: 当時の権威や常識を鵜呑みにせず、常に自分の頭で考えることを重視しました。 そのため、エセーには、既存の価値観を相対化するような視点が多く見られます。
* **豊かな文体**: 古典的な教養に裏打ちされた格調高い文体でありながら、ユーモアや皮肉を交えながら軽妙に論を進めていきます。 そのため、現代においても多くの読者を魅了し続けています。
エセーの影響
モンテーニュのエセーは、フランス文学だけでなく、ヨーロッパの思想や文学に大きな影響を与えました。 特に、近代的な自我の発見や懐疑主義の先駆者として、パスカル、モンテスキュー、ルソー、ニーチェなど、後世の思想家に多大な影響を与えました。