モリエールのタルチュフを面白く読む方法
タルチュフの人物像に注目する
タルチュフは、一見敬虔な信者でありながら、その実、欲望に忠実な偽善者です。彼の言動の端々から、本性と仮面のギャップを読み取ることが、この作品の面白さを深める鍵となります。
例えば、タルチュフがオルゴンの妻エルミールに言い寄る場面。彼は聖書の一節を引用しながら、自分の欲望を正当化しようとします。このような場面での彼の言葉遣いや態度を注意深く観察することで、彼の滑稽で醜悪な本性をより鮮明に浮かび上がらせることができるでしょう。
各登場人物の視点に立って読んでみる
タルチュフは、それぞれ異なる立場や性格を持った登場人物によって取り囲まれています。彼らの視点に立って物語を読み進めることで、タルチュフに対する多角的な見方が得られ、作品への理解がより深まります。
例えば、タルチュフに騙されているオルゴンの視点に立てば、彼の盲信ぶりに対する苛立ちや、タルチュフの巧妙な手口に気づけないもどかしさを感じることができるでしょう。一方、タルチュフの本性を見抜いている使用人の視点に立てば、オルゴンの愚かさに呆れつつも、何とかしてタルチュフを追い出そうとする彼らの奮闘に共感できるはずです。
風刺劇としての側面を楽しむ
タルチュフは、17世紀フランス社会における宗教 hypocrisy を痛烈に風刺した作品です。当時の社会背景や宗教観について知識を深めることで、モリエールの風刺の鋭さをより深く理解することができます。
例えば、当時のフランスでは、カトリック教会が絶大な権力を持っていました。モリエールは、タルチュフのような偽善的な宗教家が横行する状況を、風刺劇という形で批判したのです。作品を読み進める中で、当時の社会問題や宗教観と照らし合わせてみることで、モリエールの意図やメッセージをより深く読み解くことができるでしょう。
喜劇としての面白さに浸る
タルチュフは、風刺劇であると同時に、登場人物たちの滑稽なやり取りや、テンポの良い展開が魅力的な喜劇でもあります。深刻なテーマを扱いながらも、ユーモアあふれるモリエールの筆致によって、読者は楽しみながら物語に引き込まれていくでしょう。
例えば、タルチュフがエルミールに言い寄る場面での、二人のやり取りは、緊迫感の中にも滑稽さが漂っています。また、オルゴンがテーブルの下に隠れて、タルチュフの悪事を自ら目の当たりにする場面は、喜劇ならではの痛快さを感じさせます。登場人物たちのコミカルな言動に注目しながら読むことで、作品の面白さをより満喫できるでしょう。