モアのユートピアの仕組み

モアが「ユートピア」で提示する理想社会は、54の都市からなる島国「ユートピア島」を舞台としています。各都市は6,000世帯で構成され、1つの世帯は10人から16人の成員で構成されます。

ユートピアでは、農業は全ての市民が一定期間従事する義務であり、自給自足的な生活の基盤となっています。農業以外の職業は、各個人が自由に選択することができます。また、金銀などの貴金属は価値を持たず、私有財産は存在しません。全てのものは共有され、必要に応じて各家庭に分配されます。

ユートピアの政治体制は、各世帯が30年ごとに選出する代表者によって構成される議会によって統治されています。各都市の代表者の中から選出された大宰相が、行政の長として島全体の統治を行います。

ユートピアでは信仰の自由が認められており、太陽や月、祖先などを崇拝する多様な宗教が存在します。無神論も認められていますが、死後の世界を信じないことは道徳的に問題視されます。

ユートピアでは、男女を問わず全ての市民が平等に教育を受ける権利を有しています。教育は、実用的な知識や技能の習得に加え、道徳や哲学、歴史など幅広い分野を網羅しています。労働時間外は学習に充てられ、市民は生涯にわたって学習を続けることが奨励されています。

ユートピアにおける家族は、血縁関係よりも共同体への帰属意識を重視した構造となっています。結婚は認められていますが、離婚も比較的容易に行うことができます。また、人口調整のために、必要に応じて家族構成員の移動が行われることもあります。

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