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メンガーの国民経済学原理の周辺

メンガーの国民経済学原理の周辺

メンガーの生涯と時代背景

カール・メンガー(Carl Menger, 1840-1921)は、オーストリアの経済学者であり、オーストリア学派の創始者として知られています。彼は、ヴィルヘルム・ロッシャーやアドルフ・ワグナーといった、当時のドイツ歴史学派の経済学に批判的な立場をとっていました。歴史学派は、経済理論は時代や地域によって異なるという立場から、演繹的な方法よりも帰納的な方法を重視していました。

限界効用理論の発見

メンガーは、1871年に出版された主著『国民経済学原理』の中で、限界効用理論を体系的に展開しました。限界効用理論とは、財の価値は、その財の追加的な一単位がもたらす満足度(限界効用)によって決まるという考え方です。メンガーは、人間の欲求は無限であるのに対し、財は有限であるため、人は限られた財を最も欲求の強いものから順に充当していくと論じました。そして、財の価値は、最後に充当された一単位の限界効用によって決まるとしました。

経済学の方法論

メンガーは、経済学は、人間の行為を研究する学問であると定義しました。そして、経済現象を説明するためには、個人の主観的な価値判断や行動を分析する必要があると論じました。メンガーは、経済学は、演繹的な方法を用いて、人間の行動の普遍的な法則を明らかにする学問であると主張しました。

オーストリア学派の発展

メンガーの思想は、オイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクやフリードリヒ・フォン・ヴィーザーといった後継者たちに受け継がれ、オーストリア学派として発展しました。オーストリア学派は、市場メカニズムの重要性、政府の介入による弊害、主観的価値論などを主張し、新古典派経済学とは異なる独自の立場を築きました。

現代経済学への影響

メンガーの限界効用理論は、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズやレオン・ワルラスといった経済学者も同時期に独立して発見しており、新古典派経済学の基礎となりました。また、メンガーの主観的価値論や方法論的個人主義は、現代の行動経済学や制度経済学にも影響を与えています.

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