メルヴィルの白鯨を面白く読む方法
1. 翻訳の違いを楽しむ
『白鯨』は、現在容易に手に入るものでも様々な翻訳版が存在します。翻訳者によって文体や言葉遣いが異なり、同じ作品でも異なる印象を受けることがあります。例えば、岩波文庫版は原文に忠実な格調高い翻訳で、新潮文庫版はやや現代的な言葉遣いで読みやすくなっています。
複数の翻訳版を読み比べてみることで、それぞれの翻訳者の解釈や表現の違いを楽しむことができます。気に入った翻訳者を見つけるのも良いでしょう。
2. エイハブ船長の狂気と執念に注目する
エイハブ船長は、巨大な白鯨モビーディックに片足を奪われたことに対し、復讐心を燃やす狂気に満ちた人物として描かれています。彼の狂気は、周囲の人間を巻き込み、悲劇的な結末へと導きます。
彼の言動や心理描写に注目することで、人間の狂気と執念の深淵を垣間見ることができます。白鯨への復讐に執念を燃やすエイハブ船長ですが、彼の心の奥底には、もっと深い絶望や孤独が隠されているようにも見えます。彼の狂気の裏に隠されたものを探ってみましょう。
3. 海と捕鯨の描写に圧倒される
メルヴィル自身が捕鯨船に乗船していた経験を元に、海や捕鯨の様子がリアルに描写されています。 広大な海、巨大な鯨との死闘、船上での生活など、当時の捕鯨の様子をありありと感じ取ることができます。
特に、鯨を捕獲するシーンは圧巻です。鯨の巨大さ、力強さ、そして生命力の尊さを実感すると同時に、人間の小ささ、弱さも感じ取ることができるでしょう。
4. 登場人物たちの個性的なキャラクターを楽しむ
『白鯨』には、エイハブ船長以外にも、語り手のイシュメール、銛打ちのクィークェグ、スタッブなど、個性豊かな登場人物たちが数多く登場します。
彼らはそれぞれ異なる文化や背景を持ち、独自の価値観や人生観を持っています。彼らの会話や行動を通して、人間模様や社会の縮図が見えてくるのも面白い点です。
5. 寓話や象徴を読み解く
『白鯨』は、単なる海洋冒険小説ではなく、深い寓意や象徴に満ちた作品としても知られています。白鯨は、自然の脅威、神の力、人間の業など、様々な解釈が可能です。
作中に登場する様々な出来事や登場人物たちの行動にも、象徴的な意味が込められていると考えられています。
6. 自分のペースで楽しむ
『白鯨』は、決して簡単な小説ではありません。しかし、難解な部分や退屈に感じる部分を無理に読み進める必要はありません。
面白そうな部分だけを読んだり、わからない部分は読み飛ばしたり、自分なりの楽しみ方を見つけることが大切です。