ミルトンの復楽園の表象
表象1:エデンの園
ミルトンは、失楽園の舞台として、旧約聖書の創世記に描かれたエデンの園を、詳細に描写しています。楽園は、あらゆる種類の美しい花や木々が生い茂り、中央には生命の木と知恵の木が立っています。園には四つの川が流れ、澄み切った水が溢れています。動物たちは人間と共存し、争いも苦しみもありません。
エデンの園は、神が人間のために創造した、完全で豊かな場所として描かれています。アダムとイヴは、神の創造物の頂点として、この楽園を支配し、楽しむことを許されていました。しかし、彼らは禁断の果実を食べることで、この楽園から追放されてしまいます。
表象2:人間の内的楽園
ミルトンは、外的な楽園であるエデンの園だけでなく、人間の内的状態をも楽園として描写しています。アダムとイヴは、創造された当初、罪を知らない純粋な状態でした。彼らの心は、神への愛と感謝で満たされ、互いに完全な信頼と愛情で結ばれていました。
この内的楽園は、外的な楽園と同様に、罪によって失われてしまいます。禁断の果実を食べたことで、アダムとイヴは罪の意識、羞恥心、恐怖といった負の感情に苦しめられることになります。彼らの関係もまた、不信と非難によって損なわれてしまいます。
表象3:回復の可能性としての楽園
ミルトンは、失楽園の中で、失われた楽園が回復する可能性についても示唆しています。アダムとイヴは、天使ミカエルから、将来、救世主が現れ、人類を罪から救済するという預言を聞かされます。
この預言は、人間の内的状態における楽園の回復、すなわち神との和解と心の平安の可能性を示唆しています。また、ミルトンは、たとえ地上に楽園が regained できなくとも、人間は神の愛と恵みによって、天国という永遠の楽園を得ることができると示唆しています。