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ミルトンの失楽園の技法

ミルトンの失楽園の技法

叙事詩の形式

ミルトンは『失楽園』において、古代ギリシャ・ローマの叙事詩の形式である、英雄詩の形式を用いています。英雄詩は、英雄の冒険や高貴な行為を、壮大なスケールで描く詩の形式です。ホメーロスの『オデュッセイア』やウェルギリウスの『アエネーイス』などが代表例として挙げられます。

高尚な文体

ミルトンは、聖書という題材を扱うにふさわしい、荘重で格調高い文体を用いています。ラテン語風の語彙や構文を多用し、韻律も厳格な無韻詩を用いることで、作品に威厳と重厚さを与えています。

壮大な比喩

ミルトンは、壮大なイメージを喚起する比喩を多用することで、読者の想像力を刺激し、作品世界に引き込みます。サタンを Leviathan (リヴァイアサン、海の怪物) にたとえたり、地獄を「暗黒の帝国」と表現したりするなど、聖書の記述を超えた独自の解釈を加えることで、作品に深みと広がりを与えています。

複線的なプロット

『失楽園』は、アダムとイブの楽園追放というメインプロットに加え、サタンの反乱と堕天というサブプロットが並行して描かれています。これらのプロットは互いに影響し合い、複雑に絡み合いながら物語が展開されます。

多様な登場人物

『失楽園』には、神、天使、サタン、アダム、イブなど、個性豊かな登場人物が登場します。それぞれが異なる価値観や欲望を持ち、複雑な人間関係を築き上げています。特にサタンは、反逆者でありながらカリスマ性と雄弁さを備えた複雑なキャラクターとして描かれており、読者に多様な解釈を許容する存在となっています。

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