## ミルトンの失楽園に関連する歴史上の事件
イギリス革命
ミルトンは熱心な共和主義者であり、オリバー・クロムウェル率いる議会派を支持し、イギリス革命に深く関わっていました。革命の結果、チャールズ1世が処刑され、イングランド共和国が成立しました。ミルトンはこの新しい共和国で要職に就き、その理念を広めるために精力的に活動しました。
「失楽園」は、王権神授説を否定し、自由意志と理性に基づく共和制を擁護するミルトンの思想が色濃く反映された作品です。サタンが率いる堕天使たちの反乱は、専制君主に対する民衆の抵抗運動を象徴していると解釈することもできます。また、アダムとイブが禁断の果実を食べる場面は、自由と責任の葛藤、そして人間の弱さを見事に描写しており、革命期の混乱と人々の苦悩を反映しているとも言えます。
宗教改革
16世紀に始まった宗教改革は、カトリック教会の権威を揺るがし、プロテスタントと呼ばれる新しい宗派を生み出しました。ミルトン自身はプロテスタントの一派であるピューリタンに属し、聖書の教えを重視していました。「失楽園」は、聖書に登場するアダムとイブの楽園追放の物語を題材としており、キリスト教的世界観に基づいて書かれています。
ミルトンは、宗教改革で問題となった神の摂理、自由意志、原罪などの神学的なテーマを「失楽園」の中で深く掘り下げています。彼は、人間は神によって創造されたにもかかわらず、自由意志を持ち、自ら善悪を選択することができると主張しました。これは、カトリック教会の教義とは異なる、プロテスタント的な人間観を示しています。
ルネサンス
14世紀から16世紀にかけてヨーロッパで起こったルネサンスは、古代ギリシャ・ローマ文化の復興を特徴とする文化運動です。ルネサンスの影響は、文学、芸術、科学など、様々な分野に及びました。ミルトンもまた、ルネサンスのヒューマニズム精神に深く影響を受けた一人でした。
「失楽園」は、古典的な叙事詩の形式で書かれており、ホメーロスやウェルギリウスなどの古代の詩人たちの影響を強く受けています。しかし、ミルトンは単に古典を模倣するのではなく、独自の解釈を加えることで、キリスト教的世界観とルネサンスのヒューマニズムを融合させた壮大な作品を生み出しました。