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マーシャルの経済学原理の表象

## マーシャルの経済学原理の表象

### 表象:需要と供給の「はさみ」

アルフレッド・マーシャルの主著『経済学原理』(1890年)において、最も有名な表象は需要と供給の関係を表す「はさみ」の図です。価格を縦軸に、数量を横軸に取ったグラフ上に、右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線が描かれ、その交点が均衡価格と均衡数量を示しています。

### 需要曲線の解釈:限界効用と価格の関係

需要曲線は、消費者が各価格水準において購入しようとする財の数量を示しています。マーシャルは、消費者が財の消費から得られる限界効用が価格を上回る限り、その財を購入し続けると考えました。

需要曲線の右下がりの形状は、限界効用逓減の法則を反映しています。消費者は、財の消費量が増加するにつれて、追加的に得られる効用(限界効用)が減少していくため、より低い価格でなければ追加購入しようとしないのです。

### 供給曲線の解釈:生産費用と価格の関係

供給曲線は、生産者が各価格水準において供給しようとする財の数量を示しています。マーシャルは、生産者が利潤を追求することを前提に、生産費用が価格を下回る限り、生産者は財の供給を増やすと考えました。

供給曲線の右上がりの形状は、生産費用逓増の法則を反映しています。生産者は、生産量を増加させるにつれて、追加的にかかる費用(限界費用)が増加していくため、より高い価格でなければ追加供給しようとしないのです。

### 部分均衡分析:特定の市場における分析

マーシャルは、需要と供給の分析を用いて、特定の市場における価格と数量の決定を説明しました。これを部分均衡分析と呼びます。部分均衡分析では、分析対象とする市場以外の市場への影響は考慮されません。

### 時間要素の導入:市場期間、短期間、長期間

マーシャルは、経済分析に時間要素を導入しました。彼は、市場における価格と数量の調整速度が、時間の経過とともに変化すると考え、市場期間、短期間、長期間という3つの期間区分を設けました。

– 市場期間:生産要素が固定され、供給量が変化できない期間
– 短期間:一部の生産要素(例:労働力)が可変となり、供給量が部分的に変化できる期間
– 長期間:すべての生産要素が可変となり、供給量が自由に変化できる期間

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