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マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーの世界

## マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーの世界

マルクスとエンゲルスの共著

「ドイツ・イデオロギー」は、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが1845年から1846年にかけて共同で執筆した著作です。2人の若き日の共著であり、唯物史観の基本的な考え方が初めて体系的に提示されました。

批判の対象:ドイツ観念論

本書は、当時のドイツ思想界を席巻していたヘーゲル哲学とその左派である青年ヘーゲル派、特にルートヴィヒ・フォイエルバッハ、ブルーノ・バウアー、マックス・シュティルナーらの思想を批判的に検討することを目的としています。マルクスとエンゲルスは、これらの思想を「観念論」と呼び、現実の世界を物質的な存在ではなく、観念や精神から出発して理解しようとする誤った立場であると批判しました。

唯物史観の提唱

マルクスとエンゲルスは、ドイツ観念論に対して、現実を「物質的な生産活動」を出発点として理解する「唯物史観」を提示しました。人間は、まずもって「食うこと、飲むこと、住居、衣服など」といった物質的な生活を営む必要があり、この物質的な生産活動こそが歴史の原動力であると彼らは主張しました。

歴史の発展段階と階級闘争

唯物史観によれば、歴史は物質的な生産様式の発展段階に沿って、原始共産制社会、古代奴隷制社会、封建制社会、資本制社会というように発展してきました。そして、それぞれの社会においては、生産手段の所有をめぐって支配階級と被支配階級の対立、すなわち階級闘争が生じます。資本制社会におけるブルジョアジーとプロレタリアートの対立も、このような階級闘争の一形態として捉えられました。

イデオロギー批判

マルクスとエンゲルスは、支配階級の思想や観念は、彼らの物質的な支配を正当化するための「イデオロギー」として機能すると指摘しました。そして、ドイツ観念論もまた、当時の支配階級であったブルジョアジーのイデオロギーに過ぎないと批判しました。

共産主義社会への展望

マルクスとエンゲルスは、資本制社会における階級対立は、プロレタリアートによる革命によって最終的に克服され、階級のない共産主義社会が到来すると予言しました。共産主義社会では、生産手段は社会の共有財産となり、労働の搾取は消滅するとされました。

出版の経緯と影響

「ドイツ・イデオロギー」は、マルクスとエンゲルスの存命中には出版されず、1932年にソビエト連邦で初めて完全な形で出版されました。本書は、マルクス主義の基礎を築いた重要な著作として、後の社会主義運動や思想に多大な影響を与えました。

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