マルクスの資本論に関連する歴史上の事件
ロシア革命
資本論は、1917年のロシア革命に大きな影響を与えたと考えられています。レーニン率いるボルシェビキ党は、マルクスの資本主義批判、特に階級闘争と資本主義の必然的な崩壊という考え方に強く影響を受けました。ボルシェビキは、ロシア革命を、マルクスの理論が予言する労働者階級による資本主義の打倒と、社会主義社会の建設への第一歩と見なしていました。
資本論は、ロシア革命後のソビエト連邦においても、公式のイデオロギーとして採用されました。マルクスの思想は、経済政策、教育、文化など、ソビエト社会のあらゆる側面に浸透しました。
世界恐慌とニューディール政策
1929年の世界恐慌は、資本主義の不安定さと危機に対する脆弱さを露呈し、マルクスの資本主義批判に対する関心を再び高めました。世界恐慌の影響は世界中に及び、多くの国で失業率が急上昇し、経済が崩壊しました。
この危機に対応して、アメリカ合衆国のフランクリン・D・ルーズベルト大統領は、ニューディール政策と呼ばれる一連の経済政策を実施しました。ニューディール政策は、政府による積極的な市場介入、社会福祉制度の拡充、労働組合の権利拡大など、資本主義の修正を試みるものでした。
冷戦
第二次世界大戦後、世界はアメリカ合衆国率いる資本主義陣営とソビエト連邦率いる社会主義陣営の対立構造に突入しました。冷戦と呼ばれるこのイデオロギー対立は、資本論の解釈をめぐっても争われました。
アメリカ合衆国とその同盟国は、資本論を共産主義革命の青写真とみなし、ソビエト連邦の拡張主義政策の根拠として非難しました。一方、ソビエト連邦とその同盟国は、資本論を資本主義の搾取と不平等を暴露する科学的な分析として擁護しました。
現代の資本主義批判
資本論は、2008年のリーマン・ショックに端を発する世界金融危機以降、再び注目を集めています。格差の拡大、金融市場の不安定化、環境問題の深刻化など、現代資本主義の抱える様々な問題を、マルクスの分析を通して解釈しようとする動きが広がっています。
特に、トマ・ピケティなどの経済学者によって、資本主義における富の集中と格差の拡大に関する研究が進められており、マルクスの資本論との関連で議論されています。