マグヌソンの家父長制の理論の対極

マリリン・フレンチの『性の政治学』(1977年)は、フェミニズムの第二波を代表する著作であり、マグヌソンの家父長制の理論とは全く異なる視点から男女間の力関係を分析しています。

フレンチは、家父長制を単なる男性支配のシステムとして捉えるのではなく、男女両方を抑圧する、より広範で深く根付いた権力構造として理解しています。彼女は、私的領域と公的領域の分離、女性の性的対象化、男女の役割分担など、社会のあらゆる側面に家父長制が浸透していると主張しました。

また、フレンチは家父長制が男性にもたらす負の影響についても言及しています。競争、支配、感情の抑制といった男性らしさの規範は、男性自身を苦しめ、女性との真の関係性を築くことを阻害すると彼女は論じています。

『性の政治学』は、出版当時、大きな反響を呼び、フェミニズム運動に多大な影響を与えました。家父長制に対する鋭い批判と、男女平等の実現に向けた具体的な提案は、今日においても重要な示唆を与え続けています。