## マイネッケの歴史主義の成立と時間
歴史主義の時代背景
19世紀、ヨーロッパでは歴史主義と呼ばれる歴史観が台頭しました。これは、啓蒙主義の普遍的な歴史観、すなわち理性に基づいて歴史を普遍的に理解しようとする考え方に反発し、それぞれの時代や文化には固有の価値観や法則が存在すると考える歴史観です。
マイネッケにおける歴史主義
ドイツの歴史家、フリードリヒ・マイネッケ(1862-1954)は、この歴史主義を体系化し、独自の「歴史主義」を展開したことで知られています。マイネッケは、歴史は単なる過去の出来事の羅列ではなく、それぞれが固有の価値を持つ「個体」として存在すると考えました。彼は、それぞれの時代や国家、民族、さらには個人に至るまで、すべてが唯一無二の「個体」であり、それ自身の内的法則に従って発展すると主張しました。
マイネッケの歴史主義における時間
マイネッケの歴史主義において、時間は直線的なものではなく、それぞれの「個体」に固有のリズムを持つと考えられています。彼は、歴史を「個体」の内的発展として捉え、その発展は一様ではなく、加速したり減速したり、時には後退することもあるとしました。
マイネッケの歴史方法
マイネッケは、それぞれの「個体」の固有性を理解するために、過去の史料を徹底的に批判的に読み解く「史料批判」を重視しました。彼は、史料から過去の「個体」の内的世界を理解しようと努め、その「個体」の立場から歴史を解釈することを目指しました。
影響と評価
マイネッケの歴史主義は、20世紀前半の歴史学に大きな影響を与えました。彼の思想は、ナチスによる歪曲された利用など、批判的な評価を受けることもありましたが、歴史を相対化し、多様な価値観を認めようとする現代の歴史観にも大きな影響を与え続けています。