# ボーヴォワールの第二の性を面白く読む方法
第一の関門、分厚さと難解さを乗り越えるために
700ページを超える大著かつ、哲学用語や複雑な論理展開が頻出する本書に、多くの人が「難しそう」「読み切れるか不安」という印象を抱くのも無理はありません。しかし、最初から最後まで一言一句全てを理解しようとする必要はありません。まずは、肩の力を抜いて、気軽に読み進めてみましょう。
本書を「面白く」読むための最初の一歩は、自分なりの「テーマ」を設定することです。「恋愛」「結婚」「仕事」「母性」など、自分が特に興味のあるテーマに関連する章や箇所をピックアップして読んでみましょう。
例えば、「恋愛」に興味があるなら、第二部「 lived experience 」の「恋人」の章から読み始めてみるのも良いでしょう。
「仕事」に関心があるなら、第三部「歴史」の各時代の女性の社会進出に関する記述に注目してみるのも良いでしょう。
また、最初から通して読むのではなく、興味のある章や節から自由に読んでみるのも良いでしょう。各章、各節は比較的独立した内容となっているため、どこから読んでも理解できるように工夫されています。
第二の性を読むためのガイドブックを活用する
一人で読み進めるのが難しいと感じたら、解説書やガイドブックを活用するのも有効な手段です。
解説書は、ボーヴォワールの生涯や思想背景、本書の構成や主要な論点をわかりやすく解説してくれるため、本書への理解を深めることができます。また、読書会や勉強会に参加するのも良いでしょう。他の参加者と意見交換をすることで、新たな視点や解釈を得ることができ、より深く本書を理解することができます。
さらに、現代社会との関連性を意識しながら読むと、より「面白く」読むことができます。
出版から70年以上経った現代でも、ジェンダーに関する問題は根深く、世界中で議論が続いています。
本書で提起された問題意識は、現代社会にも通じる普遍的なものです。
本書を読み進めながら、「これは現代の日本にも当てはまるだろうか?」「ボーヴォワールは現代社会をどのように見ているだろうか?」と自問自答することで、より深く考え、自分自身の意見を形成することができます。
自分自身の経験と照らし合わせながら、対話するように読む
ボーヴォワールは、本書の中で自身の経験を赤裸々に語りながら、女性が置かれている状況を分析しています。
その率直な言葉は、時に鋭く、時にユーモラスで、読者を飽きさせません。
彼女自身の経験談は、読者自身の経験と重ね合わせやすく、共感や反発など、様々な感情を呼び起こすでしょう。
本書を読む際には、ボーヴォワールの主張を一方的に受け入れるのではなく、「自分だったらどう感じるだろう?」「自分の経験と照らし合わせて、どう考えるだろう?」と自問自答しながら、対話するように読むことが大切です。
そのようにして、自分自身の考えを深め、新たな視点を得ることこそが、「面白く」読むことに繋がっていくでしょう。