ボーンのアインシュタインとの対話を読む前に
マックス・ボルンの生涯と業績について
マックス・ボルン（1882-1970）は、量子力学の創始者の一人として知られるドイツの物理学者です。量子力学は、原子や亜原子レベルでの物質とエネルギーの振る舞いを記述する物理学の分野です。ボルンは、1954年に「量子力学の統計的解釈に関する基礎的研究、特に波動関数の統計的解釈」によってノーベル物理学賞を受賞しました。
量子力学の解釈をめぐる論争について
量子力学の解釈は、20世紀初頭から物理学者たちの間で激しい論争の的となってきました。ボルンは、量子力学の確率論的解釈を提唱したことで知られていますが、これはアルバート・アインシュタインをはじめとする一部の物理学者から強い反発を受けました。アインシュタインは、「神はサイコロを振らない」という言葉で有名なように、量子力学の確率論的な性質に納得していませんでした。
本書が書かれた背景と目的について
『アインシュタインとの対話』は、ボルンとアインシュタインが長年にわたって交わした書簡をまとめたものです。これらの書簡は、量子力学の解釈をめぐる二人の偉大な物理学者の間で行われた白熱した議論を記録した貴重な資料となっています。ボルンは、本書を通じて、アインシュタインとの論争を通して自らの量子力学に対する見解を明確にするとともに、アインシュタインの批判に反論しようと試みています。