ボワソナードの刑法草案註解を読む前に
フランス刑法とその歴史について学ぶ
ボワソナードの刑法草案註解は、フランス刑法を基に作成されています。そのため、註解を深く理解するためには、フランス刑法の内容はもちろんのこと、その歴史的背景や成立過程、当時の社会状況などを知っておく必要があります。
フランス刑法は、1789年のフランス革命後に制定された「人および市民の権利の宣言」の影響を強く受けており、自由主義、平等主義、個人主義といった思想が色濃く反映されています。特に、罪刑法定主義や刑罰の比例性といった原則は、フランス刑法の根幹をなすものであり、ボワソナードの草案にも受け継がれています。
フランス刑法の歴史を学ぶことで、ボワソナードがどのような思想に基づき、どのような問題意識を持って草案を作成したのかを理解することができます。
当時の日本の法状況について知る
ボワソナードが刑法草案を作成した当時、日本は明治維新を経て近代国家への道を歩み始めたばかりであり、法制度も大きく変化していました。
江戸時代までの日本の法は、慣習法や儒教の教えに基づくものが多く、近代的な法体系とは大きく異なっていました。明治政府は、近代国家建設のために西洋の法制度を積極的に導入し、新しい法典の整備を進めていました。
ボワソナードは、このような日本の法状況を踏まえ、近代的な法典としてふさわしい刑法草案の作成を目指しました。彼が草案に込めた思いや、当時の日本社会における草案の意義を理解するためには、当時の日本の法状況や明治政府の政策などを知っておく必要があります。
ボワソナードの経歴と日本法への影響について調べる
ギュスターヴ・エミール・ボアソナードは、フランスから招聘された法律家で、日本の近代法の基礎を築いた人物の一人として知られています。彼は、司法省の法律顧問として、刑法だけでなく、民法、商法など、様々な分野の法典整備に携わりました。
ボワソナードは、日本の伝統や文化を尊重しながら、西洋の法思想を導入することに努めました。彼の思想や業績は、その後の日本の法発展に大きな影響を与えています。
ボワソナードの経歴や日本法への影響を調べることで、彼がどのような人物であり、どのような考えを持って刑法草案を作成したのかをより深く理解することができます。
註解の内容構成を把握する
ボワソナードの刑法草案註解は、大部の著作であり、その内容は多岐にわたります。事前に目次を確認し、各章がどのようなテーマを扱っているのか、全体像を把握しておくことで、よりスムーズな読解が可能になります。
また、註解には、フランス刑法の条文や判例、学説などが引用されています。注釈や参考文献などを参照しながら、ボワソナードがどのような意図でこれらの資料を引用しているのか、注意深く読み解くことが重要です。