## ボッカチオのデカメロンを読む
ジョヴァンニ・ボッカチオ
ジョヴァンニ・ボッカチオ（1313-1375）は、ダンテ、ペトラルカと並んで、イタリア文学の三大巨匠の一人と称される作家です。フィレンツェ共和国チェルトゥルド出身で、ナポリやフィレンツェを拠点に活動しました。代表作『デカメロン』は、ペスト禍から逃れる人々の物語集であり、ボッカチオの humanist としての思想や、当時の社会風俗を色濃く反映した作品として知られています。
デカメロンの概要
『デカメロン』（Il Decameron）は、1348年から1353年にかけて執筆されたとされる、散文による物語集です。100の物語で構成されており、10人の男女（7人の女性と3人の男性）が、ペストが流行するフィレンツェを逃れ、郊外の館で10日間過ごしながら、毎日一人一話ずつ物語を語るという枠物語の中に収められています。
物語のテーマと特徴
『デカメロン』に収められた物語は、恋愛譚、滑稽譚、教訓譚など、多岐にわたります。聖職者や貴族を風刺した話も多く、当時の社会に対する痛烈な批判精神が見て取れます。また、性や金銭欲といった人間の本質的な欲望を、時にユーモラスに、時にシニカルに描いている点も特徴です。
デカメロンの影響
『デカメロン』は、発表当時から大きな反響を呼び、多くの言語に翻訳されました。ジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』など、後世の文学作品にも大きな影響を与えています。また、絵画や音楽など、文学以外の分野においても、『デカメロン』を題材とした作品が数多く制作されています。
現代におけるデカメロン
『デカメロン』は、今日でも古典文学の傑作として、世界中で広く読まれています。人間の本質や社会の矛盾を鋭く描き出すボッカチオの筆致は、時代を超えて現代人にも多くの示唆を与えてくれます。