ボッカチオのデカメロンから得られるもの
14世紀イタリア社会の現実
「デカメロン」はペスト禍のフィレンツェを逃れた男女10人が、10日間にわたって語る100の物語集です。物語の舞台は多岐に渡りますが、当時のイタリア社会、特に都市部の風俗や人々の暮らしぶりが生き生きと描かれている点が特徴です。
例えば、物語には商人の狡猾さや聖職者の堕落など、当時の社会問題が鋭く風刺されています。また、恋愛や結婚、家族関係といった普遍的なテーマも扱われており、当時の社会における人々の価値観や道徳観を垣間見ることができます。
文学としての面白さ
「デカメロン」の魅力は、社会的な背景の描写だけにとどまりません。ボッカチオの巧みな話術によって、100の物語はそれぞれに個性的な登場人物、奇想天外な展開、ユーモラスな描写など、純粋な文学作品としての面白さに溢れています。
喜劇的な物語もあれば、悲劇的な物語、官能的な物語もあり、そのバラエティ豊かな内容によって読者は飽きることなく作品の世界に引き込まれていきます。また、物語の語り手である10人の男女の掛け合いも魅力の一つであり、彼らの会話を通して物語はより立体的に、生き生きとしたものになっています。
人間の普遍的な姿
「デカメロン」は14世紀のイタリアを舞台としていますが、描かれているのは人間の本質という点で、現代社会にも通じる普遍的なテーマを内包しています。
愛欲、嫉妬、復讐、欺瞞、慈悲など、人間のあらゆる側面が物語を通して浮き彫りになり、読者は登場人物たちの行動に共感したり、反発したりしながら、人間存在について改めて深く考えさせられます。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。