ボエティウスの哲学の慰めの表象
表象:女神哲学
『哲学の慰め』の中で、哲学は高貴な女性の姿で擬人化されて登場します。ボエティウスの前に現れた彼女は、破れた衣服を身につけ、その裾にはΠ(Πρακτική, 実践)からΘ(Θεωρία, 観想)へと続く梯子が描かれています。これは、哲学が実践的な知恵から観想的な知恵へと至る道を示すものであることを表しています。
表象:運命の車輪(Rota Fortunae)
運命の女神フォルトゥーナとその車輪は、中世ヨーロッパで広く知られた表象であり、『哲学の慰め』にも登場します。絶えず回転する車輪は、人間の運命が常に変化することを象徴しています。車輪の上に乗っている人物は幸福の頂点にいますが、いつ転落するとも知れません。逆に、車輪の下にいる人物は不幸のどん底にいますが、いつ幸運が巡ってくるかもしれません。
表象:音楽
音楽は、ボエティウスにとって重要なテーマの一つです。彼は音楽を、宇宙の調和を表すもの、そして人間の魂を浄化するものとして捉えています。作中では、音楽療法によってボエティウスの苦悩が和らげられる場面も描かれています。