## ホワイトヘッドの観念の冒険の位置づけ
###
出版情報
* 原題:Adventures of Ideas
* 出版年:1933年
* 出版社:マクミラン社(ニューヨーク)
###
執筆背景と出版までの経緯
「観念の冒険」は、ホワイトヘッドがハーバード大学教授時代に執筆し、72歳で出版した著作です。晩年の10年間に書かれた「科学と近代世界」「過程と実在」「観念の冒険」の三部作のうちの一つに数えられます。 特に、「過程と実在」で展開された形而上学を、西洋文明の歴史という具体的な文脈の中で捉え直した作品として位置づけられています。
###
構成
本書は全4部に分かれています。
* **第一部:発生的考察**:文明の起源、哲学的合理主義の出現、宇宙論における冒険、魂に関する諸概念を考察する
* **第二部:秩序の探求**:プラトンの考察、アリストテレスの考察、マニ教、キリスト教における神の概念などを考察する
* **第三部:文明の冒険**:真理、美、冒険、平和、力などの観念を軸に、文明を考察する
* **第四部:終末論的考察**:宇宙の進化と人間の目的、文明の終焉の可能性を考察する
###
主な内容
本書は、古代ギリシャから現代までの西洋思想における主要な「観念」の歴史を辿りながら、文明の興隆と衰退、人間の創造性と破壊性、そして宇宙における人間の位置づけを探求しています。
* ホワイトヘッドは、西洋文明を「プラトニック=キリスト教的伝統」と捉え、その根底にある「永遠の事物」や「超越的な神」といった観念を批判的に検討します。
* その上で、変化や過程を重視する独自の哲学に基づき、「観念」を静的な実体ではなく、常に生成変化する動的なプロセスとして捉え直します。
* そして、「観念の冒険」こそが、文明を前進させ、人間存在に意味を与える原動力であると主張します。
###
影響
「観念の冒険」は、出版当初は大きな反響を呼びませんでしたが、その後、思想史、哲学、宗教、文化人類学など、多様な分野の研究者に影響を与えてきました。特に、
* 文明論
* 過程哲学
* プロセス思想
などに大きな影響を与えたとされています。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。