ホメロスのオデュッセイアの案内
登場人物
* **オデュッセウス:** イタカ島の王であり、物語の主人公。トロイア戦争からの帰路、数々の苦難を経験する。知略と雄弁さに長け、故郷と家族への深い愛情を持つ。
* **ペーネロペイア:** オデュッセウスの妻。夫の不在の間、多くの求婚者たちに悩まされながらも、貞節を守り続ける。機知に富み、愛情深く、忠実な女性。
* **テーレマコス:** オデュッセウスとペーネロペイアの息子。父を捜し出し、求婚者たちから母と王国を守るために旅に出る。成長物語の主人公的な側面も持ち、物語が進むにつれて勇敢で機転の利く若者へと成長していく。
* **アテーナー:** 知恵と戦いの女神。オデュッセウスとテーレマコスを守護し、助言を与える。
* **ポセイドーン:** 海の神。オデュッセウスが息子であるキュクロプスを盲目にしたことから、彼に強い恨みを抱き、航海の邪魔をする。
* **ゼウス:** 神々の王。他の神々の争いを仲裁したり、人間の運命に介入したりする。
物語の舞台
* **イタカ島:** オデュッセウスの故郷であり、物語の最終目的地。
* **トロイア:** ギリシャ本土の都市国家。オデュッセイアはこのトロイア戦争後の物語である。
* **カリュプソーの島:** オデュッセウスが7年間、美しいニンフであるカリュプソーに留め置かれる。
* **キルケーの島:** 魔女キルケーが住む島。オデュッセウスは彼女の魔法で豚に変えられた仲間を救い出す。
* **冥界:** オデュッセウスは預言者テイレシアースから未来を予言してもらうために冥界へ旅をする。
オデュッセイアで描かれるテーマ
* **帰還:** オデュッセイアは、故郷と家族のもとへの長い帰還の物語である。
* **試練:** オデュッセウスは航海の途中で様々な試練に遭遇する。これらの試練を通して、彼の勇気、知恵、忍耐力が試される。
* **復讐:** オデュッセウスは、妻と王国を奪おうとする求婚者たちに復讐を果たす。
* **運命:** オデュッセイアの登場人物たちは、神々の定めた運命に従って生きている。
* **ホスピタリティ:** 古代ギリシャ社会におけるホスピタリティ(客のもてなし)の重要性が描かれている。
物語の構成
オデュッセイアは、大きく分けて三つの部分で構成されています。
* **テーレマコス Telemachy:** 最初の4巻では、オデュッセウスの息子テーレマコスが、父の消息を求めて旅に出る物語が描かれる。
* **オデュッセウスの漂流記:** 第5巻から第12巻までは、オデュッセウスがカリュプソーの島から故郷のイタカ島へ帰るまでの10年間の冒険が語られる。
* **オデュッセウスの帰還と復讐:** 第13巻から第24巻までは、オデュッセウスがイタカ島に帰還し、求婚者たちに復讐を果たすまでが描かれる。
叙事詩としての特徴
* **韻律:** ヘクサメトロスという韻律で書かれている。
* **叙事詩的修辞法:** 比喩、直喩、反復など、叙事詩独特の表現技法が使われている。
* **神々の介入:** 神々が人間の運命に介入し、物語を動かしていく。
* **英雄譚:** オデュッセウスは、知恵と勇気を兼ね備えた理想的な英雄として描かれている。