## ホメロスのイリアスに関連する歴史上の事件
###
トロイア戦争
ホメロスの叙事詩『イリアス』は、ギリシア神話におけるトロイア戦争を題材としています。戦争の始まりとされる「パリスの審判」や、アキレウスとヘクトールの死闘、トロイの木馬の計略など、物語の中心となる出来事は史実かどうか議論が続いています。
###
トロイア遺跡の発掘
19世紀後半、ハインリヒ・シュリーマンが『イリアス』の記述を元に、現在のトルコ北西部にあるヒサルックで古代都市トロイアの遺跡を発見しました。この発見は、『イリアス』の世界が単なる神話ではなく、歴史的事実に基づいている可能性を示唆するものとして大きな反響を呼びました。
###
ミケーネ文明
『イリアス』に登場するミケーネは、紀元前1600年から紀元前1100年頃に栄えたミケーネ文明の中心地でした。ミケーネ文明は、高度な技術力と軍事力を持ち、クレタ島を征服するなど、当時のエーゲ海世界で大きな影響力を持っていたと考えられています。『イリアス』に描かれたアガメムノン王率いるギリシア軍の力は、ミケーネ文明の繁栄を反映しているのかもしれません。
###
海の民の侵入
紀元前1200年頃、地中海東部では「海の民」と呼ばれる謎の海上民族が勢力を拡大し、ヒッタイト帝国など多くの文明が崩壊しました。ミケーネ文明もまた、この時代に衰退していきました。「海の民」の侵入は、トロイア戦争やミケーネ文明の崩壊と関連がある可能性も指摘されています。
###
暗黒時代
ミケーネ文明の崩壊後、ギリシア世界は文字記録がほとんど残っていない「暗黒時代」と呼ばれる時代に入りました。しかし、この時代にも口承によって伝えられた英雄譚や神話が語り継がれ、『イリアス』のような叙事詩が成立する土壌が育まれたと考えられます。