ホブソンの帝国主義論の思考の枠組み
ホブソンの問題意識:「過剰貯蓄」と「過少消費」
ホブソンは、当時の資本主義社会における経済的な矛盾に着目しました。それは、「過剰貯蓄」と「過少消費」の問題です。当時の資本主義社会では、生産力が飛躍的に向上し、大量の財貨が生産されるようになりました。しかし、労働者階級の賃金は低く抑えられていたため、生産された財貨をすべて消費することができませんでした。これが「過少消費」です。
帝国主義の経済的動機:「過剰資本」の投資先
一方、資本家階級は、労働者階級への分配を抑制することで、巨額の富を蓄積していきました。しかし、国内市場が飽和状態にあるため、この「過剰資本」を国内に投資しても、十分な利益を上げることができません。そこで、資本家たちは、新たな投資先として、海外に目を向けるようになります。
帝国主義のメカニズム:資本家による国家への圧力
資本家たちは、自分たちの投資を保護し、利益を確保するために、政府に対して、植民地の獲得や海外進出を積極的に働きかけます。政府は、資本家からの圧力や、国民経済の停滞という状況に押され、帝国主義政策を進めていくことになります。
ホブソンの主張:帝国主義は資本主義の必然的な帰結ではない
ホブソンは、帝国主義は、資本主義社会における経済的な矛盾から生じる必然的な帰結であると主張しました。しかし、彼は同時に、帝国主義は、資本主義の唯一の解決策ではないとも主張しています。彼は、労働者階級の賃金を向上させ、国内需要を拡大することで、「過剰貯蓄」と「過少消費」の問題を解決し、帝国主義に頼ることなく、平和的な発展が可能であると論じました。