ホブスンの帝国主義論の構成
第一部 帝国主義の経済学
第一部では、帝国主義の経済的基盤について論じます。まず、
第一章 帝国主義の動因
では、19世紀後半の資本主義の矛盾、特に過剰生産と過剰資本が帝国主義の主要な動因であると主張します。ホブソンは、当時の資本主義社会における富の偏在が、消費不足と投資機会の不足をもたらし、それが帝国主義的な expansion を促すと分析します。
第二章 寄生虫としての金融資本
では、金融資本が産業資本から独立し、利潤追求のために海外進出を推し進める過程を批判的に分析します。ホブソンは、金融資本が生産活動に直接関与せず、投機や利殖に走ることで、経済全体に悪影響を及ぼすと主張します。
第三章 帝国主義の政治学
では、経済的な力関係が政治に影響を与え、帝国主義政策を推進する仕組みを明らかにします。ホブソンは、資本家階級が政府に圧力をかけ、自らの利益のために植民地獲得や保護貿易政策を推進すると主張します。
第二部 帝国主義の実態
第二部では、具体的な事例を交えながら、帝国主義の政治、経済、社会への影響を分析します。
第四章 商人、宣教師、政治家
では、帝国主義の担い手として、商人、宣教師、政治家の三者を挙げ、それぞれの役割と動機を分析します。ホブソンは、彼らがしばしば結託し、経済的利益、宗教的使命、国家の威信などを大義名分として帝国主義政策を推進すると指摘します。
第五章 帝国主義と下層階級
では、帝国主義が本国の下層階級にもたらす影響を考察します。ホブソンは、帝国主義が労働者階級の生活水準を向上させるという主張に反論し、むしろ賃金の低下や失業、生活不安をもたらすと主張します。
第六章 帝国主義の道徳
では、帝国主義が道徳的に正当化できないことを論じます。ホブソンは、帝国主義が人種差別や搾取、戦争など、数々の問題を引き起こすと指摘し、国際的な協力と平和に基づく新しい国際秩序の必要性を訴えます。