ホブスンの帝国主義論の技法

ホブソンは、帝国主義を政治的、軍事的現象としてではなく、まず第一に経済的現象として分析しました。彼は、当時の資本主義経済に内在する問題、特に過剰生産と過剰貯蓄の問題に焦点を当てています。

ホブソンによれば、資本主義経済は過剰な資本を生み出し、国内では十分な投資機会を見つけられなくなります。この過剰資本は、海外に新たな市場と投資先を求めるようになり、それが帝国主義的な拡張につながると彼は主張しました。

ホブソンは、帝国主義は国民全体にとって利益をもたらすものではなく、むしろ少数の利益集団、特に資本家階級や金融資本に利益をもたらすと主張しました。彼は、これらの集団が自らの経済的利益のために政府に圧力をかけ、帝国主義政策を推進すると論じています。

ホブソンは、自らの主張を裏付けるために、当時の統計データや事例研究を幅広く用いています。彼は、イギリスの海外投資の状況、植民地の貿易構造、列強の経済競争などを詳細に分析し、帝国主義の経済的側面を明らかにしようとしました。

ホブソンの分析は、単なる経済的なものに留まらず、強い道徳的批判を含んでいます。彼は、帝国主義は被支配民族の搾取と貧困をもたらし、国際的な緊張を高めると批判しました。

ホブソンは、帝国主義を理解するためには歴史的な視点が不可欠であると考えました。彼は、過去の帝国の興亡を分析し、帝国主義が本質的に不安定で持続不可能なシステムであると結論付けました。