ホッブズのリヴァイアサンの表象
リヴァイアサンの図像的表現
リヴァイアサンの表紙には、巨大な人型の姿をしたリヴァイアサンが描かれています。その体は無数の小さな人々によって構成されており、リヴァイアサンが個人の集合体であることを示しています。右手には剣を、左手には司教杖を持ち、世俗権力と宗教権力の両方を掌握していることを象徴しています。頭には冠をかぶり、絶対的な権威を表現しています。
リヴァイアサンの象徴としての意味
リヴァイアサンは、ホッブズが提唱した社会契約論における絶対的な主権者、すなわち国家を象徴しています。人々は自然状態では「万人の万人に対する闘争」状態にあり、生命や財産が常に脅かされているとホッブズは考えました。この恐怖から逃れるために、人々は自らの自然権の一部を放棄し、絶対的な権力を持つ主権者に譲渡することで、秩序と安全を確保する社会契約を結ぶとホッブズは論じました。リヴァイアサンはこの絶対的な主権者を具現化したものです。
人々が構成するリヴァイアサンの身体
リヴァイアサンの体は、無数の小さな人々の顔と体で構成されています。これは、リヴァイアサン、すなわち国家が、個々の成員の集合体であることを視覚的に示しています。人々はリヴァイアサンの一部となり、その巨大な力を構成することで、個々では得られない安全と秩序を享受できるのです。
剣と司教杖が象徴するもの
リヴァイアサンは右手に剣を、左手に司教杖を持っています。剣は世俗的な権力、すなわち物理的な力による支配を象徴し、司教杖は宗教的な権威、すなわち精神的な力による支配を象徴しています。リヴァイアサンはこれらの両方の権力を掌握することで、国家が内外のあらゆる脅威から人々を守り、秩序を維持する絶対的な存在であることを示しています。