## ホジスキンの労働擁護論を読む
ホジスキンと「労働擁護論」
トーマス・ホジスキン(1787-1869)は、イギリスの初期社会主義者であり、労働組合運動の指導者として知られています。彼は、資本主義社会における労働者の厳しい状況を批判し、労働者自身の組織と行動によって、より公正で平等な社会を実現することを訴えました。
ホジスキンの代表作である「労働擁護論」(Labour Defended against the Claims of Capital, 1825)は、当時の資本家の主張に真っ向から反論し、労働者の権利を擁護した画期的な著作として評価されています。この本の中でホジスキンは、労働こそが価値の源泉であるという「労働価値説」を展開し、資本家の利潤は労働者の搾取によって生まれていると主張しました。
「労働擁護論」の内容
「労働擁護論」は、ホジスキンが機械化によって失業した労働者の窮状を目の当たりにしたことをきっかけに執筆されました。当時のイギリスでは、産業革命の進展によって工場の機械化が進み、多くの労働者が職を失っていました。資本家たちは、機械化は生産性を向上させ、社会全体に利益をもたらすと主張していましたが、ホジスキンは、機械化によって労働者が搾取され、貧困に追いやられている現実を告発しました。
ホジスキンは、労働こそが商品の価値を生み出す源泉であると主張し、資本家の利潤は労働者の労働から生み出された価値の一部を不当に搾取したものであると批判しました。そして、労働者が自らの労働によって得られる報酬を受け取ることができるような、より公正な社会の実現を訴えました。
「労働擁護論」の影響
「労働擁護論」は、出版当時から大きな反響を呼び、労働者階級の間で広く読まれました。ホジスキンの主張は、後の社会主義思想や労働運動に大きな影響を与え、カール・マルクスも「労働擁護論」を高く評価しています。
「労働擁護論」は、労働者の権利を擁護し、資本主義社会の矛盾を鋭く指摘した点で、今日においても重要な意義を持つ著作です。現代社会においても、格差の拡大や労働問題などが深刻化する中で、ホジスキンの思想は、私たちに多くの示唆を与えてくれるでしょう。