## ホイジンガの中世の秋の機能
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歴史叙述における形式主義的アプローチ
ホイジンガの『中世の秋』は、伝統的な歴史叙述とは一線を画す、独自の形式主義的アプローチを採用しています。これは、政治や経済といった要素よりも、文化や精神、つまり人々の意識や行動様式、価値観といった側面に焦点を当てることで、中世という時代を解釈しようとするものです。
具体的には、騎士道や恋愛、死生観、宗教観、祭りや遊戯など、当時の文化現象を詳細に分析し、そこに通底する精神構造を明らかにしようと試みています。
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中世のイメージの転換
ホイジンガは、『中世の秋』において、それまでの「暗黒時代」といった中世のイメージを覆し、独自の美意識や精神文化が花開いた時代として描き出しました。
彼は、中世の文化を、過剰なまでの形式主義、劇的な表現、遊戯的要素といった特徴によって規定されるものと捉え、それらを「騎士道的文化」や「華麗なる世紀」と表現しました。
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歴史記述における主観性の導入
『中世の秋』の特徴として、ホイジンガ自身の主観や感性が色濃く反映されている点が挙げられます。彼は、当時の絵画や文学作品、記録などを用いながら、自身の感性と共鳴する文化的要素を抽出し、中世文化の独自性を浮かび上がらせています。
これは、客観性を重視する従来の歴史叙述とは大きく異なる点であり、賛否両論を巻き起こしました。しかし、この主観的なアプローチによって、中世文化が持つ複雑さや多面性がより鮮やかに描き出されたとも言えます。
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