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ホイジンガの『中世の秋』の仕組み

## ホイジンガの『中世の秋』の仕組み

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文化史的方法

ホイジンガは本書において、従来の政治史・経済史中心の中世史像を批判し、文化史の視点から中世後期(14世紀~15世紀)の西欧社会を捉え直そうと試みました。彼は、政治や経済といった枠組みではなく、人々の精神構造や生活様式、芸術表現、価値観といった文化現象を通して、中世社会の特質を浮き彫りにしようとしました。

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「生の形式」の分析

ホイジンガは、文化を分析する上で、「生の形式」という概念を用いました。これは、人々の生活様式や行動様式、儀礼、習慣、遊び、精神性といった、文化を構成する具体的な要素を指します。彼は、文献資料や絵画などの史料を丹念に読み解くことで、当時の「生の形式」を復元し、そこから中世人の思考や感性を明らかにしようと試みました。

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騎士道と敬虔の美意識

ホイジンガは、中世後期の文化を特徴づけるものとして、「騎士道」と「敬虔」という二つの要素を挙げました。彼は、騎士道が華麗な儀礼や武勲を通して、また、敬虔が宗教的儀式や神秘主義を通して、それぞれ独特の美意識を生み出したと論じました。そして、これらの美意識が、当時の文学、美術、建築、音楽といった様々な文化領域に影響を与え、中世文化特有の様式を形成したと分析しました。

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「秋のイメージ」と文化の衰退

ホイジンガは、中世後期を「秋」のイメージで捉えました。これは、中世文化が、この時代に至って、爛熟の極みに達した後、衰退に向かうという歴史観を反映しています。彼は、中世後期の文化に見られる過剰な装飾性や形式主義、感性の鋭敏化などを、文化が成熟期を経て衰退期に移行する過程と解釈しました。

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イメージと象徴の重視

ホイジンガは、中世の人々の思考様式を理解する上で、イメージと象徴が重要な役割を果たしていたと論じました。彼は、中世の人々は、抽象的な概念よりも、具体的なイメージや象徴を通して世界を理解し、表現していたと指摘しました。そして、当時の絵画や文学作品に見られる象徴表現を分析することで、中世人の精神世界に迫ろうとしました。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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