ベーコンの新機関からの学び
観察と実験の重要性
フランシス・ベーコンは、その著書「ノヴム・オルガヌム（新機関）」（1620年）の中で、従来のアリストテレス的な演繹法を批判し、帰納法に基づいた新しい科学的方法を提唱しました。ベーコンは、自然を理解するためには、偏見や先入観にとらわれずに、注意深い観察と実験によって事実を積み重ねていくことが重要であると主張しました。
イドラ（偶像）の排除
ベーコンは、人間が陥りやすい誤謬や偏見を「イドラ（偶像）」と呼び、4つの種類に分類しました。すなわち、人間の生まれつきの性質による「種族のイドラ」、個人の経験や習慣による「洞窟のイドラ」、言葉の曖昧性による「市場のイドラ」、権威や伝統による「劇場のイドラ」です。ベーコンは、これらのイドラを認識し、排除することによって、客観的な認識が可能になると考えました。
帰納法の提唱
ベーコンは、個々の事例から一般的な法則を導き出す「帰納法」を重視しました。彼は、まず多くの事例を観察し、その中から共通する性質や規則性を見つけ出すことが重要であると主張しました。そして、その規則性を仮説として設定し、さらに実験によって検証することで、確実な知識を得ることができると考えました。
知識は力なり
ベーコンは、「知識は力なり」という言葉で知られています。彼は、科学的な知識は、自然を制御し、人類の幸福に役立つという信念を持っていました。ベーコンは、科学技術の発展によって、貧困や病気などの問題を解決することができると期待していました。