## ベルタランフィの一般システム理論の話法
### 1. 全体論と要素還元主義を超えて
ベルタランフィは、従来の科学的方法論、特に要素還元主義では複雑な現象を十分に理解できないと批判しました。要素還元主義は、システムを要素に分解して個別に分析することを重視しますが、要素間の相互作用やシステム全体の振る舞いを捉えることができません。
これに対し、ベルタランフィは**全体論**を提唱しました。全体論は、システムを要素の集合ではなく、相互に関連し合い、全体として機能する有機的な統一体として捉えます。彼は、システムを理解するためには、要素間の相互作用やシステム全体の構造に着目する必要があると主張しました。
### 2. システムの階層性と異種同型性
ベルタランフィは、自然界や社会には、原子、分子、細胞、器官、個体、集団、社会など、様々なレベルのシステムが存在することに着目し、これらのシステムが階層的に組織化されていることを明らかにしました。
さらに、彼は**異種同型性**という概念を導入しました。異種同型性とは、異なるレベルのシステムにおいて、構造や機能が類似している現象を指します。例えば、生物の細胞におけるフィードバックシステムと、社会における経済活動の調整メカニズムは、異なるレベルのシステムにおける異種同型的な現象として捉えることができます。
### 3. 開放系としてのシステムとエントロピー
ベルタランフィは、生物や社会などの多くのシステムを**開放系**として捉えました。開放系とは、外部環境とエネルギーや情報、物質などを交換しながら動的に変化するシステムです。
彼は、開放系においては、外部環境との相互作用を通じて**エントロピー**(無秩序の度合い)が減少することがあり、システムが自己組織化し、複雑化していく可能性があると主張しました。これは、従来の熱力学の法則では説明できない、生命現象や社会現象を理解する上で重要な視点を提供するものです。