## ベルクソンの時間と自由の表象
表象とは何か
表象とは、一般的に、心の中に描き出されたイメージや概念、思考対象などを指します。ベルクソンの哲学においても、表象は重要な概念であり、彼の時間論と密接に関係しています。ベルクソンは、我々が通常「時間」と呼んでいるものは、空間的な表象に還元されたものであり、真の時間を捉えきれていないと批判しました。
空間化された時間と真の時間
ベルクソンによれば、我々は時間を空間的に捉えがちです。例えば、時計の針の動きやカレンダーの日付の移り変わりなど、時間を空間的な尺度で測定し、分断されたものとして認識しています。これは、我々の知性が分析的で、物事を分離して捉える傾向を持つためです。しかし、ベルクソンは、このような空間化された時間は、真の時間を歪めたものだと考えました。
純粋持続としての時間
ベルクソンが「純粋持続」と呼ぶ真の時間は、空間的な表象を超えたところにあります。純粋持続は、過去から現在、そして未来へと絶え間なく流れ行く、非分割的で連続的なものです。それは、我々が内的に経験する、生き生きとした生の流れそのものです。
自由と持続
ベルクソンは、自由もまた、この純粋持続と密接に関係していると主張しました。空間化された時間の中で生きる時、我々は過去に決定されたものとして未来を捉えがちであり、自由は制限されます。しかし、純粋持続の中に身を置く時、我々は過去から流れ込む創造的な力を感じ、真に自由な選択を行うことができるのです。
表象と自由の限界
ベルクソンは、我々の知性とそれが作り出す表象は、実用的な目的のためには有効であると認めつつも、真の時間と自由を理解するためには、知性を超えた直観が必要であると主張しました。直観によってのみ、我々は空間化された時間という表象の枠組みを超え、純粋持続としての時間、そして真の自由を体験することができるのです。