ベルクソンの時間と自由に影響を与えた本
イマヌエル・カント著 『純粋理性批判』
アンリ・ベルクソンの記念碑的作品『時間と自由』は、時間、意識、自由意志の性質に関する我々の理解に挑戦しています。この影響力のある作品を形成した知的系譜の中で、イマヌエル・カントの傑作『純粋理性批判』は、特に重要な役割を果たしています。ベルクソンの哲学の中心となる主張、特に持続時間と自由意志の概念に対するカントの思想の影響を探求します。
ベルクソン自身の記述によると、『純粋理性批判』は、彼が伝統的な決定論の枠組みの中で格闘し始めたときに、形成的な影響を与えたとのことです。カントの超越論的観念論、特に時間と空間に関する彼の理論は、ベルクソンの哲学的出発点を提供しました。カントは、時間と空間は「直観の純粋な形態」であると主張しました。言い換えれば、これらは私たちの外に客観的に存在するのではなく、むしろ経験を構造化する主観的なレンズです。カントにとって、時間は均質で線形な枠組みであり、その中で、私たちは感覚的印象を秩序立てて理解します。
ベルクソンは、時間に関するこのカント的な見解に賛成しながらも、それが人間の経験の本質的な側面、すなわち持続時間の側面を完全に捉えていないと主張しました。ベルクソンにとって、持続時間は単なる測定可能な単位の連続ではなく、むしろ質的に異なり、相互に浸透する瞬間の絶え間ない流れです。この持続時間は、私たちの内面的な意識の中で最も明白であり、そこでは、過去、現在、未来が鋭く区別された瞬間ではなく、相互に流れ込みます。
ベルクソンがカントと最も明確に決別したのは、自由意志の問題においてでした。カントは、現象界、すなわち私たちが感覚を通して経験する世界では、すべての事象が因果関係の法則によって決定されていると主張しました。しかし、彼はまた、私たちには物自体としては知覚できないものの、道徳的行為者としての私たちの経験に不可欠なヌメナ界における自由意志の存在を仮定しました。この二分法はベルクソンの哲学の核心を突くものでした。
ベルクソンにとって、時間に関するカントの厳格な分離、そしてその結果としての自由と決定論の分離は、誤った二分法を生み出しました。ベルクソンは、持続時間という彼の概念を通して、自由は決定論と矛盾する概念ではなく、むしろ人間の経験に内在するものとして理解できると主張しました。自由とは、私たちが行動し、選択する際に、私たちの過去の全体、私たちの意識の持続する流れを完全に受け入れることです。この見解では、自由はあらかじめ決められた一連の選択肢の中で単に選択することではなく、真に新しいもの、予測不可能なものを作成する能力です。
結論として、カントの『純粋理性批判』は、ベルクソンの時間と自由に関する考えを形成する上で重要な役割を果たしました。カントは、時間と空間、因果関係、自由意志の問題に取り組むための出発点を提供しました。しかし、ベルクソンは、特に持続時間と経験の性質に関する彼自身の革新的な概念を通して、これらのカント的な概念を批判し、拡張しました。ベルクソンとカントの間のこの相互作用は、20世紀の思想に影響を与え続ける哲学的旅における重要な瞬間を浮き彫りにしています。