## ベルクソンの創造的進化の構成
序論
序論では、ベルクソンは本書で展開する形而上学の独自性を強調します。彼は、伝統的な形而上学、特に古代ギリシャ哲学以来支配的であったプラトニズムを批判します。ベルクソンによれば、プラトニズムは「イデア」という不変かつ完全な世界を想定し、現実の世界をその「影」と見なすことで、真の現実である変化と生成を軽視してきました。ベルクソンは、真の形而上学は、このイデアと現実の二元論を克服し、変化と生成そのものを捉えなければならないと主張します。
第一章 生の弾み
第一章では、ベルクソン哲学の中心概念である「生の弾み」（Élan vital）が導入されます。「生の弾み」とは、生命の進化を駆り立てる根源的な力であり、創造と変化の源泉です。ベルクソンは、この「生の弾み」を、機械論的な因果関係を超えた、自由で創造的な力として捉えます。彼は、生物進化における複雑化と多様化は、この「生の弾み」の活動の結果であると主張します。
第二章 知性と直観
第二章では、人間の認識能力が分析されます。ベルクソンは、人間の知性を二つのレベルに分けます。一つは「分析的知性」であり、これは物事を空間的に分割し、静的な概念を用いて理解しようとします。もう一つは「直観」であり、これは「生の弾み」を直接的に把握する能力です。ベルクソンによれば、「分析的知性」は科学や実用的な活動には有効ですが、「生の弾み」のような動的な現実を捉えることはできません。真に生命を理解するためには、「直観」によって「生の弾み」そのものを把握する必要があるのです。
第三章 物質と生命
第三章では、「生の弾み」と物質の関係が考察されます。ベルクソンは、「生の弾み」を物質から完全に独立した実体とは考えず、物質を「生の弾み」の活動が遅延し、凝固したものと見なします。彼は、生命は物質から生まれたのではなく、「生の弾み」が物質に浸透し、その内部から物質を組織化することによって出現したと主張します。
第四章 意識の進化
第四章では、意識の起源と進化が探求されます。ベルクソンによれば、意識は最初から完全な形で存在していたわけではなく、「生の弾み」の活動の過程で徐々に進化してきました。彼は、意識の進化を、運動の自由度が増していく過程として捉えます。単純な生物は、限られた反応しかできませんが、進化が進むにつれて、より複雑で自由な運動が可能になり、それに伴い意識も発達していくのです。
結論
結論は省略されていますが、本書全体を通して、ベルクソンは生命を「生の弾み」という創造的な力の展開として捉え、進化を機械論的なプロセスではなく、自由と創造性に満ちたものとして提示しています。