プーシキンの大尉の娘の関連著作
ピョートル大帝の歴史
プーシキンは「大尉の娘」の執筆とほぼ同時期に「ピョートル大帝の歴史」の執筆にも取り組んでいました。この未完に終わった歴史書は、ピョートル大帝の治世と、特に1725年のエカチェリーナ1世の即位に至るまでの出来事を扱っています。プーシキンは「大尉の娘」においてもエメリヤーン・プガチョフの乱を通して、歴史と個人の運命がどのように交差するのかを探求しており、「ピョートル大帝の歴史」は、このテーマへの関心の表れと言えるでしょう。
プガチョフの乱に関する史料
プーシキンは「大尉の娘」の執筆にあたり、プガチョフの乱に関する膨大な量の史料を研究しました。その中には、プガチョフ自身の尋問記録や、乱に関わった人々の証言、当時の新聞記事などが含まれます。プーシキンはこれらの資料を綿密に調査することで、歴史的事実を忠実に再現しようと努めるとともに、登場人物たちの心理や行動を深く理解しようと試みました。
18世紀ロシア文学
「大尉の娘」は、18世紀ロシア文学、特に感傷主義とロマン主義の影響を受けています。感傷主義の影響は、登場人物たちの内面世界や感情表現に顕著に見られます。一方、ロマン主義の影響は、歴史的事件を背景に、愛と冒険、忠誠と裏切りといったテーマを描いている点に表れています。プーシキンはこれらの要素を独自に融合させることで、リアリズムの萌芽を感じさせる作品を生み出したのです。