プーシキンの大尉の娘の発想
プガチョフの乱を題材にした理由
プーシキンは、デカブリストの乱(1825年)後の1830年代初頭から、帝政ロシアの歴史に興味を持ち始めました。特に、エカチェリーナ2世の治世に起きた農民反乱であるプガチョフの乱(1773-1775年)に強い関心を抱き、実際に現地を訪れて調査を行っています。
史実と創作の融合
プーシキンは、プガチョフの乱を題材にするにあたって、史実を忠実に再現することに努めました。彼は膨大な資料を読み込み、関係者の証言や記録を綿密に調べ上げました。その一方で、登場人物や物語は創作であり、歴史的事実を背景にしながらも、人間の愛や忠誠、裏切りといった普遍的なテーマを描き出しています。
「大尉の娘」の存在
タイトルにもなっている「大尉の娘」ことマーシャは、プーシキンの創作による登場人物です。彼女は物語の中心人物であり、プガチョフの乱という動乱の時代を生き抜く女性として描かれています。マーシャは、当時の貴族社会の女性としては珍しく、勇敢で芯の強い性格の持ち主として設定されています。