プルードンの経済的諸矛盾の体系の原点
プルードンの思想的背景
ピエール・ジョセフ・プルードンは1809年生まれのフランスの社会主義思想家であり、その思想はヘーゲルやアダム・スミス、そしてフランスの社会主義者たちから影響を受けました。彼は独学で哲学や経済学を学び、印刷工として働きながら執筆活動を行いました。
経済的諸矛盾の体系の出版
1846年、プルードンは彼の代表作となる『経済的諸矛盾の体系、あるいは貧困の哲学』を出版しました。この著作は、当時の社会主義思想や経済学に対する批判的な分析と、プルードン独自の社会改革論を展開したもので、大きな反響を呼びました。
所有権に対する批判
プルードンは本書の中で、「所有権とは盗みである」という有名な言葉で表現されるように、私有財産制度を批判しました。彼は、所有権が不平等と搾取を生み出し、労働者の貧困の原因となっていると主張しました。
労働価値説の継承と批判
プルードンはアダム・スミスの労働価値説を継承し、商品の価値はその生産に必要な労働量によって決まると考えました。しかし、彼は同時に、資本主義社会においては労働者が生産した価値の全てを受け取ることができず、資本家に搾取されていると批判しました。
国家に対する批判
プルードンは国家についても批判的で、国家は支配階級の利益を守るために存在すると考えました。彼は、真の自由と平等を実現するためには、国家権力を廃止し、個人の自由と自律を基礎とした社会を構築する必要があると主張しました。