プルタークの英雄伝の案内
ギリシャ・ローマ時代の偉人を描いた伝記集
「プルタークの英雄伝」は、古代ギリシャの著作家プルタルコスによって書かれた、著名なギリシャ人とローマ人の伝記集です。原題は「Βίοι Παράλληλοι (ビオイ・パラレロイ)」、つまり「対比列伝」という意味で、ギリシャ人とローマ人の英雄を対にして、その生涯や業績を比較する形で描かれています。
構成と内容
「英雄伝」は、全部で50人の人物の伝記で構成されています。その内訳は、ギリシャ人が23人、ローマ人が23人、そして両方に属さない人物が4人です。 各人物の伝記は、基本的に以下の3つの部分から成り立っています。
1. 前半: 伝記の主人公の生涯と業績を年代順に記述
2. 後半: 前半と対になる人物の生涯と業績を年代順に記述
3. 比較: 2人の人物の共通点や相違点を比較し、人物評を加える
史料としての価値
「英雄伝」は、プルタルコス自身の経験に基づいた記述ではなく、主に既存の資料や伝聞に基づいて書かれています。そのため、歴史的な正確さには欠ける部分もあるとされています。
後世への影響
「英雄伝」は、古代から現代に至るまで、広く読まれ続けてきました。その理由は、単なる歴史書ではなく、人間の生き方や道徳、政治について考えさせる、示唆に富んだ作品だからです。
日本語訳について
「英雄伝」は、これまで多くの学者によって日本語に翻訳されてきました。代表的な翻訳としては、以下のものがあります。
* 「プルターク英雄伝」(村川堅太郎訳、筑摩書房)
* 「プルターク英雄伝」(河野与一訳、岩波書店)