## プラトンの国家の周辺
###
執筆年代
「国家」の正確な執筆年代は不明ですが、一般的にプラトンの初期対話篇から中期対話篇への過渡期に書かれたと考えられています。根拠としては、初期対話篇に見られるソクラテス的問答法と中期対話篇の特徴であるイデア論が混在している点が挙げられます。また、作中で言及される出来事や人物から、紀元前380年代前半頃に書かれたという説が有力です。
###
登場人物
「国家」は、ソクラテスとその対話相手による対話形式で書かれています。主な登場人物は以下の通りです。
* **ソクラテス:** 対話の語り手であり、プラトンの師。
* **プラトン:** 本作の語り手はソクラテスですが、プラトンの思想が色濃く反映されていると考えられています。
* **ケパロス:** 老齢の富裕者で、当初は「正義」について議論します。
* **ポレマルコス:** ケパロスの息子で、武力的な正義を主張します。
* **トラシュマコス:** ソフィストの一人で、支配者の利益になるものが正義だと主張します。
* **グラウコン:** プラトンの兄で、ソクラテスの議論に批判的な立場をとります。
* **アデイマントス:** プラトンの兄で、グラウコンと共にソクラテスに議論を挑みます。
###
内容
「国家」は、正義とは何か、そして正義の国家とはどのようなものかを探求する壮大な作品です。ソクラテスは様々な登場人物と対話を重ねながら、以下のようなテーマについて議論を展開します。
* **正義の定義:** ソクラテスは、従来の正義の定義を批判し、魂の調和こそが真の正義であると主張します。
* **理想国家:** ソクラテスは、正義が実現された理想国家として、哲人王が統治する国家を構想します。
* **教育の重要性:** 理想国家を実現するためには、市民を哲人王の資質を持つように教育することが不可欠であると説きます。
* **イデア論:** 真の実在は、感覚世界を超越したイデアの世界に存在すると主張し、理想国家もまたイデアの一つの形として提示されます。
###
影響
「国家」は、西洋哲学史上に多大な影響を与えた作品であり、政治哲学、倫理学、教育論など様々な分野において議論の対象となってきました。特に、理想国家論は、ユートピア思想の源流として、後世の思想家たちに大きな影響を与えました。