## プラトンのメノンから得られるもの
ソクラテス式問答法への理解
「メノン」は、プラトンが著した初期対話篇の一つであり、ソクラテスがメノンという若者と徳について議論を交わす様子が描かれています。この作品を読むことで、ソクラテスが得意とした問答法、すなわち「ソクラテス式問答法」への理解を深めることができます。
ソクラテス式問答法は、対話を通して相手の無知を自覚させ、真の知識へと導くことを目的とした問答術です。メノンとの対話においても、ソクラテスは相手の発言を鵜呑みにせず、次々と鋭い質問を投げかけることで、メノンの考えの矛盾や曖昧さを浮き彫りにしていきます。
例えば、メノンが「徳とは何か」という問いに対して、様々な定義を試みるも、ソクラテスに論理的な矛盾点を指摘され、最終的には自分が徳について何も知らないことに気づかされる場面は、ソクラテス式問答法の特徴をよく表しています。
徳とは何かという問いへの多様な視点
「メノン」では、「徳とは何か」という普遍的な問いに対し、様々な角度からの考察が展開されます。メノンは当初、社会的な地位や力、財産などを徳と結びつけて考えますが、ソクラテスの反論を通して、それらが必ずしも徳とイコールではないことを認識していきます。
また、作品内では「徳は教えられるものか」、「徳は生まれつきのものか」といった問いも提起され、議論は多岐にわたります。ソクラテスは、魂の不死や想起説などを持ち出しながら、独自の視点から徳の本質に迫っていきます。
このように、「メノン」は単一の答えを提示するのではなく、読者自身が「徳とは何か」について深く考えるための材料を提供してくれる作品と言えるでしょう。
古代ギリシャの思想背景への理解
「メノン」は、古代ギリシャにおける徳の概念や教育観を理解する上でも貴重な資料となっています。当時のギリシャ社会では、徳は市民としての重要な資質として認識されており、人々にとって関心の高いテーマでした。
作品内では、当時の社会で実際に議論されていたであろう倫理的な問題や、ソフィストと呼ばれる職業的な教師たちの存在などが描かれ、古代ギリシャ社会の思想背景を垣間見ることができます.
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。