## プラトンのティマイオスの選択
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ティマイオスにおける「選択」の概念
プラトンの対話篇『ティマイオス』において、”選択”は主要なテーマとして扱われていません。むしろ、宇宙の創造、自然現象の説明、人間の魂の起源といった壮大なテーマが中心的に語られます。
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宇宙創造におけるデミウルゴスの選択
『ティマイオス』では、善なる創造神デミウルゴスが、永遠なるイデアを模倣して、感覚的な世界を創造したとされます。 デミウルゴスは、可能な限り最善の世界を創造することを目指しており、その過程において、いくつかの重要な選択を行ったことが示唆されます。
* **無秩序から秩序を生み出す選択**: デミウルゴスは、元来無秩序であった物質に秩序と形を与え、コスモス(秩序ある宇宙)を創造しました。これは、善と秩序を志向するデミウルゴスの選択の結果と言えます。
* **四元素の選択**: デミウルゴスは、宇宙を構成する基本要素として、火、空気、水、土の四元素を選びました。これらの元素は、それぞれ固有の性質を持ち、宇宙の多様性を生み出すもととなります。
* **人間の魂の創造**: デミウルゴスは、人間を創造するにあたり、自らの本質の一部を分け与え、不死の魂を創造しました。これは、人間を他の生物とは異なる、特別な存在として位置づける選択と言えるでしょう。
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人間の選択と責任
『ティマイオス』は宇宙創造の物語ですが、そこで描かれるデミウルゴスの選択は、人間の倫理的な選択にも影響を与えます。
* **魂の遍歴と転生の選択**: デミウルゴスによって創造された人間の魂は、肉体を得て地上に生まれ変わりを繰り返すとされます。そして、魂は地上での生における行いによって、次の生での運命が決定されます。これは、人間が自らの行動に責任を負わなければならないことを示唆しています。
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注意
『ティマイオス』において、「選択」という概念は、現代的な自由意志の概念と必ずしも一致しません。 デミウルゴスの選択は、あくまでも善と秩序を志向する創造神の行為として描かれており、人間の選択もまた、魂の不死と転生という枠組みの中で理解されるべきものです。