## プラトンのティマイオスの表現
ティマイオスにおける宇宙論の表現
ティマイオスは、プラトンの後期対話篇の一つであり、宇宙の創造と構造、そして人間の自然について論じています。その特徴的な表現方法として、神話的な物語形式が挙げられます。ティマイオスは、ソクラテス、クリティアス、ヘルモクラテス、そしてタイトルにもなっているティマイオスという四人の人物の対話という形で進行します。
比喩とアナロジーを用いた説明
ティマイオスの特徴的な表現方法として、比喩やアナロジーを多用している点が挙げられます。例えば、宇宙の創造主であるデミウルゴスが、既存の世界を模倣して秩序ある宇宙を創造したという説明は、職人と作品の関係に喩えられています。また、人間の魂を戦車に喩え、理性、気概、欲望の三つの部分をそれぞれ御者、従順な馬、反抗的な馬にたとえることによって、人間の倫理的な葛藤を鮮やかに表現しています。
幾何学と数理に基づく宇宙像
ティマイオスでは、宇宙の構造や秩序を説明する際に、幾何学や数理が重要な役割を果たしています。プラトンは、正多面体と四大元素を対応させ、宇宙を幾何学的な秩序によって構成されたものとして描いています。また、音階や天体の運行にも数理的な調和を見出し、宇宙全体が美しく秩序立ったシステムであることを強調しています。
仮説としての提示
ティマイオスで展開される宇宙論は、あくまで「可能性のある物語」として提示されています。ティマイオス自身も、自身の説明は「蓋然的な物語」に過ぎないと述べており、絶対的な真理として主張しているわけではありません。これは、プラトンが、人間の認識能力の限界を意識し、断定的な結論を避ける姿勢を示していると考えられます。