## プラトンのティマイオスの力
ティマイオスにおける宇宙論
「ティマイオス」は、プラトンが晩年に書いたとされる対話篇であり、宇宙の創造、自然世界の構成、人間の魂と肉体について、壮大な宇宙論を展開しています。この作品において、ティマイオスという人物が語り手となり、ソクラテスや他の登場人物に対して、独自の宇宙観を語っていきます。
イデアと可視世界
「ティマイオス」の中心的な概念は、プラトン哲学の根幹をなす「イデア」と「可視世界」の二元論です。イデアとは、永遠不変の真実在であり、感覚的に捉えることのできない、真の実在を指します。一方、私たちが目にし、耳にするこの世界は、イデアを模倣して作られた、影のような存在に過ぎないとされます。ティマイオスは、宇宙の創造主である「デミウルゴス」が、このイデアを模範として、可視世界を形作ったと説明します。
幾何学と宇宙の構成
ティマイオスは、宇宙の構成を説明する際に、幾何学的な概念を積極的に導入します。彼は、火、空気、水、土という四元素が、それぞれ正四面体、正八面体、正二十面体、正六面体という正多面体に対応すると考えたのです。これらの立体は、最も美しく、均整のとれた形であり、完全なイデアを表現するのにふさわしいと考えられました。
魂と肉体
人間についても、「ティマイオス」は、魂と肉体の二元論に基づいて説明されます。魂は、デミウルゴスによって創造された、イデア界に属する不滅の存在です。一方、肉体は、可視世界における魂の乗り物であり、死によって朽ち果てる運命にあります。
影響と解釈
「ティマイオス」は、古代から現代に至るまで、西洋思想に多大な影響を与えてきました。特に、その宇宙論は、中世のキリスト教神学に取り入れられ、宇宙の創造主としての神の概念を補強する役割を果たしました。また、ルネサンス期には、新プラトン主義者たちによって再評価され、自然科学の発展にも寄与しました。