## プラトンのゴルギアスの選択
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ゴルギアスにおける選択
プラトンの対話篇『ゴルギアス』は、ソクラテスと、雄弁家ゴルギアス、そしてその弟子ポロスやカリクレスとの対話を通して、 **真の善** と **見せかけの善** という対立する二つの生き方を提示しています。
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雄弁術と正義の対立
ゴルギアスは、雄弁術を駆使することで、 どんな場合でも人を説得し、法廷でも政治の世界でも成功を収めることができると主張します。 しかしソクラテスは、雄弁術その自体は中立的な技術であり、 **正義** を伴わなければ、 **不正** を行うための道具になり得ると反論します。
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快楽と善の対立
ポロスは、力と快楽こそが人間の幸福であると主張し、 不正を働いてでも快楽を得ることこそが、 真の幸福であると訴えます。 しかしソクラテスは、 **真の善** は魂の秩序と調和であり、 一時的な快楽よりも、 **正義** に基づいた生き方こそが、 永続的な幸福をもたらすと反論します。
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魂の状態と死後の裁き
ソクラテスは、 **魂の浄化** の重要性を説き、 たとえ現世で罰せられなくても、 死後には、 生前の行いに対して裁きが下されると主張します。 彼は、 **不正** を犯した魂は、 死後も苦しみ続けることになると警告し、 **正義** に従って生きることを呼びかけます。
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二つの選択肢
『ゴルギアス』は、 **見せかけの成功** を追い求める生き方と、 **真の善** を追求する生き方という、 対照的な二つの選択肢を提示しています。 前者は、 雄弁術や権力によって、 一時的な快楽や成功を得ることを目的とするのに対し、 後者は、 **正義** と **魂の浄化** を通して、 真の幸福と永遠の生命を目指すものです。